【とある企業の珍事録】60歳再雇用、レジェンドの場合。その2
【とある企業の珍事録】60歳再雇用、レジェンドの場合。その1からの続き。
毎日会社の批判を言い続ける人と一緒に仕事をするのは大変なもので、
愚痴から批判にエスカレートしてさらにはただのモンスタークレーマーになってしまうことも。
先日入社したばかりの私が見たネガティブ思考のサラリーマンの行きつく末路とは。
【登場人物】
・レジェンド
60歳の定年を機に転職をしてきたレジェンドサラリーマン。
前職の会社では本部長を経験、常に皆勤賞の古き良きサラリーマン。
キャリアがあるために頑固で話が長い。
現在の時代に即した柔軟な思考を持っていると思ったら思い込みだった。
・私
大谷さん(仮称)と同時期(厳密には2週間後)に転職してきた元工業製品の開発・製造営業マン。
会社を現場から改善することをモットーとして、いちサラリーマンとして日々改善を提案していきます。
口の悪さは相変わらずのようでして
入社してからひと月ほど経ったある日。
私は今日もレジェンドから会社と社長に対する批判をひたすら食らい続けていました。
”郷に従え”とはよくいいますが、一週間もするとさすがに胸焼けを起こしてしまう程
お腹も一杯になってしまったので、
いつものように「この会社と社長はダメだ」とレジェンドに小言を言われたときにこう言いました。
「ワンマンの会社なんでどこも社長は言いたい放題言うものじゃないですか。」
「正しい、間違っているという話ではなくて全員が同じ方向向いていないと会社は進まないですよね?」
「給料が減らされたり遅配(支払いが遅れる)するわけでも暴力を振るわれるわけでもないし。」
「陰口だけ言っても何も変わらないし、私なら普通に会社辞めますけどね。」
レジェンドの感情がどんどん高まるのに対して、私の気持ちが徐々に冷え切っていくのが彼にも分かったはずです。
彼は自己矛盾に気が付いているようでした。
なぜならば彼は私と同時期に中途で入社してきた大谷さん(仮称)の教育係も兼ねており、
彼はまだ20代と若く、すぐ愚痴を言います。
そしてその愚痴を聞くたびに「中小企業なんてこんなもんだよ」
などと、この会社を分かりきったかのように平然と言っていたからです。
その1か月後、レジェンドは社長を交えた営業会議中にこの会社を辞めることを告げることになります。
しかも、来月3カ月契約の最終月だからそこで次の契約更新は自分から行わないと。。
私が言ったから会社を辞めることになったとは思いませんが、少々驚きました。
とはいえ、社長とは反りがあわなくて話をしているところをほとんど見ませんでしたから、時間の問題でもあったとも思います。
ただ、私としてはそんなことより別のことに驚きました。
私が入社したての一カ月前には定年はなく無期雇用だと思っていたレジェンドはなんと有期雇用だったのです。
いずれバレる内容をそのときに黙っていたことに悲しさを覚えました。
そこまで見えを張りたいのか、それとも、なめられたくないのか。
こうしてプライドの高いレジェンドはこの会社での2年程のキャリアの幕を閉じることになったのです。
年功序列、終身雇用の弊害
人生100年時代。
60歳の定年はあまりに短く、まだまだ働く意欲のある方も多くいることでしょう。
実際に会社に勤めている方は、定年を迎える頃にはいくつかの選択肢から道を選ぶことになります。
①定年前に務めている会社の役員に出世する。
②定年時に会社から功績を認められアドバイザーや顧問、役員経験者には相談役などの名誉ある立場で椅子を用意される。
③協力会社、クライアント関連の会社から声がかかり再就職する。
④定年を迎えたのち、給与などの低い条件面を受け入れ、再雇用される。
⑤まったく別の会社にアルバイトや再就職をする。
通常、定年を迎えるとこのような道が想定されます。
④の再雇用は、上級職の立場ではでは受け入れることができない方もいます。
自分の能力ではまだまだやれると思う方もいるでしょう。
そういった方が⑤を目指すことになると思います。
しかし、①~③に該当しなかった事実をしっかり受け入れないと、
結局は次の就職先でも同じ評価を受けることになります。
そうそう変わることができないのは誰しもが同じですが、
自分だけでなく周りに悪影響を与えてしまうことの罪は大きく、
会社には大きなマイナスとなってしまいます。
人とのコミュニケーションを軽んじ、自分の能力を過信する。
それこそが、会社から声のかからない原因であるにもかかわらず、
そこから目を逸らし自分の理想を追い求める。
このレジェンドの生きざまは私にとって大変よい教訓となる出来事でした。
こんな人には要注意
ちなみに、彼は自分の意見や理論に説得力を持たせるためか、
「自分はどこどこで、○○本部長をやっていた(大学で何々を学んでいた)ことがあるから分かる」
が口癖でした。
正直そんなことを言われても根拠にはならないし、あなたの感想であることには変わらないのですから何の意味もありません。
最近の言葉を借りれば”エビデンス”をしっかりと示して頂かないと根拠にならないのは誰が見ても明らかでしょう。
会社ごとにポジションの役割も変わりますし、どの程度スキルや知識があるか役職や経歴だけでは判断できません。
過去の役職や経歴で言葉に説得力を持たせようとする人には注意をした方が良いでしょう。
さて、ここから会社の仕事を引継ぎをしてくれる営業マンはレジェンド一人。
彼がいなくなればここの営業経験者は入社3カ月の大谷さんと私だけの二人になります。
果たしてこの会社はまともな営業マン不在というピンチを無事乗り越えることができるのでしょうか。。
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