新しい営業マンのお話
鳴り物入りのベテラン営業マン
先日、入社して来た営業マンがいました。
前職で上司とそりが合わず営業を離れ他の部署に異動となったところで気持ちが変わり転職の決断をしたようです。
前職時代を知っている私からすれば営業スキルとしては高いものがあり、教えてもらうことが多く、もし仲間になってくれたら心強いと思ったことを記憶しています。
上司と合わない内容をよく聞かされていたものの、反対側の意見も聞いていないことにはなんとも言えません。
とはいえ人手不足のうちの会社は転職して来てくれたから大よろこび。
早速私が教育係として仕事を一緒にやることになりました。
お客さんとの話もスムーズで、仕事が不慣れなところも経験でカバー、お客様に対しそつなくこなします。
前職のつながりも多く、今後また関係が始まれば当時のように頼ってもらえるようなフォローもしており、今後も期待させてくれる内容でした。
ところがクライアントへの対応以外はなかなか大変で
ただし、彼には欠点があってそれが自由奔放なところ。
一つ会社のルールを言うと愚痴を言う、
個人携帯のラインを常に開きっぱなしにして随時利用している、
常識的に新入社員がやらないタイムカードを押さずに私的な理由で病院や役所に行くなど中抜けを頻繁にする、
ルールのある備品の使用を確認もせず躊躇なく使う、
申請もなしに勝手に残業する、など、
ルール違反と言うほどではないものの、モラルや常識に欠ける行動がとても多いことに気付きました。
本人は気づいていませんが、周りから見て勝手が過ぎる行動が多く、一緒に仕事をする仲間として計算できない部分があるのです。
いかにダメな上司に仕えていたことを話されてもこれを見ていたらその上司の気持ちも手に取るようにわかってしまいますよね。
加点方式の評価ではなく減点方式の会社では間違いなく評価は下がるでしょう。
残念ながらこの国のほとんどは減点方式。
長所を伸ばすだけではうまくまわりません。
断っておきますが、個人的には長所を伸ばし様々なプロフェッショナルで構成する少数精鋭の組織が今後残っていくと思っています。
ですが今の会社はそうでないし、簡単に変わることはないでしょう。
特にサラリーマンを長くやって来ている人が転職の際にそれを理解していないわけがなく、ただ漠然と不利な状況に身を置いているようにしか見えません。
そこで、私ははっきりその一つ一つを指摘して、会社としてのルールとしてNGなことと個人的に見てモラルに反しているので今後仲間とトラブルの原因になるものを分けて伝えました。
本人は理解を示すものの、行動では劇的に良くなることはありません。
結局人は簡単に変われることなどできないのでしょう。
光が差すところに影ができる、表があれば裏がある
もともとこの方は、私の上司にあたる部長と知り合いで、不遇にみかねて声を掛けたという経緯があります。
転職してきた本人からすればヘッドハンティングのような感覚でいたかもしれません。
この辺の疑問も部長にぶつけたところ、もちろんヘッドハンティングのつもりはないし社風を理解しないと周りにも認めてもらえないから、一から覚えさせてほしいと言うことだったので私もそれに従ってはっきり言うようにしました。
私の会社は業界では堅物とみられることが多く、社員も同業他社より多いことから社内の人間関係が複雑だったりします。
そのため、営業といえどもクライアントだけをみていれば良いということはなく、社内の調整も必要になります。
社内とうまくできないと協力も得られないし、結果、全て自分に跳ね返ってきます。
今回転職してきた方は営業力がもの凄く高く、他社時代には私が手本としていた人でもあります。
それでも、会社には会社のルールがあり、私が評価者ならまだしも会社全体で彼を試している状況なのですから私も心苦しいですが彼が最終的に持ち味を発揮できる環境になるまで生き残って頂かないといけません。
先ほど書いた通り一つのことに秀でていれば会社に劇的な変化をもたらす可能性も十分にあります。
全てを切り離しニュートラルに評価すれば、短所を長所で簡単に補うこともできる方ではありますが、そのスタート地点はまだ先。
このように大抵の会社はスタート地点にたどり着くまでに様々な可能性を放棄している可能性もあります。
それでもこの流れが変わらないのは歴史を重んじ異物を排除することが組織を持続する要因であったことに他ならず、そしてそれは国民性と言えるまで深く根付いており、すぐ変えることができるものではありません。
時代を変えていくにしても最低限の我慢は必要です。
一見遠回りにも見えますが、独立でもしない限りこの方法が一番の近道となるのです。
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