OJTとメンターの大きな違い。
新年度となったこの時期、企業では新入社員が入社し、研修が始まっているところが多いと思います。
また、企業の考え方によっては早速配属先で実務に入る新入社員の方もいることでしょう。
具体的な仕事を教える際には先輩がついて一から教えることになるかと思います。
それを一般的にOJTやメンター制度と呼んでいますが、その違いはなんでしょうか。
OJTとはウィキペディアによると、
「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)または現任訓練とは、職場で実務をさせることで行う従業員の職業教育のこと。企業内で行われるトレーニング手法、企業内教育手法の一種である。」
とあります。
これにより新入社員は会社の雰囲気と仕事を現場目線で学ぶことができます。
このOJT制度、直属の上司や今後同じ仕事をする先輩が教える立場になることが多く、主に仕事の話が中心になります。
それに対してメンター制度(メンタリング)は、
「メンタリング(Mentoring)とは、人の育成、指導方法の一つ。指示や命令によらず、メンターと呼ばれる指導者が、対話による気づきと助言による被育成者たるプロテジェないしメンティー本人と、関係をむすび自発的・自律的な発達を促す方法である。」
とあり、
OJTに比べて指導ではなく自発的な活動を促す関係にあるようです。
個人的なイメージですが、2010年以降メンター制度という言葉が聞かれるようになったように思います。
そもそも親でも無ければ子でもない。
現代は一生同じ会社に勤め続ける時代ではありませんし、会社も従業員を生涯守り続ける約束をできる状況にはありません。
ですから従業員は今の会社に居続ける理由はなく、嫌なことがあればすぐに辞めてしまう傾向にあります。
こういった背景から、それまで仕事は上司から盗むものだ!という考えから、自分から疑問を抱くように促したり、それを丁寧に教えることにより居心地を良くしてもらう方が現代の育成にはフィットするのだと思います。
また、メンターは仕事以外の助言をすることも大きな特徴です。
初めての一人暮らしで不安がある後輩に対しては、自分が一人暮らしで身につけた日常生活のタメになる情報を教えてあげたり、自分の経験を話すことにより距離は縮まり、より近くで悩みを共有してあげることが新入社員の大きな助けになります。
そして、その殆どは個人的な情報を扱う為、話しやすく、年齢の近い先輩が担当することが望まれるところです。
この配置をする上司は、この辺を理解せずに年齢が離れていたり性別が違う人をメンターに選ぶことのないよう気をつけたいところです。
人は親でなくとも真似する生き物。
また、新入社員は初めてついた先輩の影響を大きく受けやすいものです。
やる気のない先輩からはサボり方を学び真似することでしょう。会社の愚痴を多くいう先輩につけば、同じように会社にネガティブな情報を影でばらまく不満分子を育てることに繋がりかねません。
ですからメンターを選ぶ際は、上司自身の評価だけではなく、同僚から好かれる人柄を基準とするなど工夫が必要です。
これを理解しないと、本業が忙しいからといって二、三年目の社員をOJTとして仕事を教える係に任命し、覚えた浅い知識をただ教えるだけになってしまい、結果、教える方も教えられる方も成長が阻害されることになります。
新入社員が入ってすぐ辞めてしまうのが悩みの会社はこのような対応をしていることが多いはずです。
こういった会社は採用方法以前に、今までの育成方法を見直してみるところから始めることをお勧めします。
仕事は緊急度と重要度を考慮して優先順位を決めることが多いと思いますが、人材育成は重要度が高いものの緊急度は低く、後回しになりがちです。
仕事の忙しさに気持ちよく流され続けると、この「緊急度が低く、重要度が高いもの。」
がいつまでも置き去りになってしまいます。
長期的に見れば会社は大きなマイナスになることでしょう。
次回はこの緊急度と重要度の関係性について書いてみようと思います。
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